「なじらね新潟下町おもっしぇところ」


平成13年8月1日
読売新聞
新潟よみうり
「リレートークにいがたの人」
掲載文
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にいがたなじらねっとにようこそ!
ここは新潟市在住、野内隆裕のお気に入りのスポット、
新潟島の下町(しもまち)の風景や銭湯、猫達 、
日和山展望台からの眺めや日本海に沈む夕日、
西堀通りの寺院等を紹介しています。
よかったらちょっと寄ってくんなせて!



なんて挨拶で始まる
インターネットホームページを開設して
四年になる。

 東京で二十代前半を過ごし、
七年半ぶりに故郷下町に帰ってきた。
久し振りに見る下町の風景は
何故かとても素晴らしく思え、
とりとめもなく撮った写真を
ネット上で公開したのが、
このページの始まりであった。

 下町の魅力と言えば、
街角の小路に流れるノンビリとした空気と、



雄大な風景が広がる海や川に近い
という事が挙げられるであろう。



 路地裏の猫達、



銭湯の煙突、



市場の賑わい、



神社のお祭り、



出航してゆく船、



佐渡に沈む夕日



等々、

下町に住んでいると
それらは日常のごく当たり前の
事なのであるが、
それらを魅力的と感じ
興味を持つようになったのは、
この地を離れていたから
なのかもしれない。

ごく当たり前の事が
素晴らしく感じられた。
そんな感動を誰かに伝えたくて
作り始めたホームページ


「にいがたなじらねっと」。

題名に「なじらね(新潟弁で如何の意)」を含ませたのには
「どう!新潟にはこんな素晴らしい所があるんですよ」
という事を誰かに伝えたかったから
なのである。

 ページを作るにあたり
コンテンツ(内容)を細かく分けたのも
様々な視点から下町を見て欲しかったからである。

新潟島一周サイクリング!

新潟島一周自転車道路を
 疑似体験するページは、
日本海と信濃川、関屋分水とに
挟まれた新潟島における
下町の位置が
実感出来ればと思い製作した。

下町Cats!

小路の猫達を紹介するページでは
猫の視点でこの町を見ると
どんな感じなんだろうと思い製作。

夕日みましょて!日本海!

新潟の名物である海に沈む夕日を
紹介するページでは、
下町のランドマークタワー日和山展望台周辺
からの眺めにこだわってみた。



他にも後世に残ればなぁと思う物件を
「下町遺産」等という括りでまとめたページや、

新潟市銭湯案内

銭湯のある風景をテーマにしたページを
製作したりもした。

気が付けばどのページも「私」というフィルターを通した
「野内流下町案内」になっており、
下町を通して「こんな風景やモノが好きな私がここにいますよ」といった
「自己表現」が出来る嬉しさを感じている。



 ところで、最近ひょんな事から
新しい町の楽しみ方を見つけた。
下町を歴史的観点から見るという事である。

 きっかけは古町の古書店で手にした
二冊の郷土史の本であった。
いずれも古い本で、一方は昭和八年、



もう一方は昭和四十九年に
初版発行された本である。



どちらの内容も
各々の本の著者が長年にわたって集めた
新潟の古老の昔話をまとめたものであり、
語り口調の文面から
当時の新潟の町、下町の風景が
鮮やかに想像出来る名著であった。

 それまで歴史的な観点から
自分の住む町を見た事が無かっただけに、
この二冊の本との出会いは刺激的であった。
早速、他にも何冊かの古い郷土史の本を読んでみたり、
ちょうどその頃完成した新潟市史を読んでみると、
どの本にも下町の神社や仏閣の名が
度々登場するのである。

 我が家の前の道路が広いのは何故?
その昔、川が流れていたから。



下町に金刀比羅神社が三社もあるのは何故?
この辺りはみなと町として栄えていた所だから。




東堀通十三番町の日和山に掲げられている看板
「水戸教発祥の地」の水戸教ってなんだ?


新潟湊の水先案内人の事、
その昔この小山の上から
湊の出船入船を見守っていた。等々。



ほんの少し歴史をかじっただけなのに
全く別のフィルターをかけたかの様に
下町が見えて来たのである。



みなとまち新潟の歴史は下町の歴史。
普段何気なく見ていた風景にも
それぞれ歴史的意味があったという事を、
遅ればせながら発見出来たのである。
著者の皆さんに感謝したいと思う。



 今後、私も数々の記録を残して下さった先人を見習い、
今の下町の様子を子供達の年代や、
ネットを通して下町に関心持ってくれた人達に、
伝えていけたらと思っている。



 今、下町では我が町を活性化させようと努力している人達や、
この町の古い建物が好きだからと、
外から注目してくれる人達の活動が盛んになって来ている。



また、柳都大橋、新潟みなとトンネルといった
水辺を身近に感じる事が出来る(と期待する)施設の建設も進み、
大きく変化を遂げようともしている。



 下町に住んでいる私としては、古い物、新しい物、
両方の魅力が融合した未来の下町を早く見てみたい気もするが、
この町の一番の魅力である「のんびりとした雰囲気」が
失われない事も願いたい。






野内隆裕(のうち・たかひろ)
プロフィール

 1968年 新潟市下町(しもまち)生まれ。



 1997年12月、インターネットホームページ
「にいがたなじらねっと」を開設。

にいがたなじらねっと

 2001年4月、
下町を題材としたネット連動写真ハガキ
「なじらねっとフォトカード」を作成。



 5月より
新潟市本町通6の青海ショッピングセンター内
「なじらねっとぷちギャラリー」にて
下町写真を展示中。



 現在インターネット博覧会インパクに参加。
パビリオン「なじらね新潟下町おもっしぇところ」を開催中。



新潟市在住。会社員。
ホームページアドレス
http://www.najiranet.com
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いや〜 新聞のエッセイって難しいですねぇ。
私の文才の無さを実感しました。トホホ